高血圧は自覚症状もなく進行するので、生活習慣の改善が必要です。
高血圧は年齢を重ねるとともに発生リスクも高くなり、合併症の危険もあります。
特に、高血圧で自覚症状が出ているのは、危険な病のサインかもしれません。
生活習慣を改善して高血圧のリスクを回避する方法を紹介しています。
どのような症状が危険な状態なのかもまとめてみました。
高血圧になる要因、その先の危険性
高血圧は自覚症状もなく進行します。
健康診断などで指摘された方もいるかと思いますが、生活習慣の改善を検討したり、治療する人はほとんどいません。
むしろ、放置する人がほとんどです。
では、なぜ高血圧が良くないのか?
高血圧になる要因と高血圧が進行した時の危険性について見ていきます。
血圧とは
高血圧を考える前に血圧を振り返っておきましょう。
血圧とは心臓の収縮によって送り出される血液によって生じる『血管内の壁を押す圧力』です。
血圧には心臓が収縮して血液を送り出す最高時の値と心臓が弛緩して拡張する最低時の値があります。
それぞれを『収縮期血圧』、『拡張期血圧』といいます。
高血圧になる要因
血圧は心臓からの押し出す力の他、血管の柔軟性によっても変わってきます。
血管に柔軟性がある場合、心臓から押し出す血液が強い力であっても、血管は広がることで強い力も分散されます。
しかし、柔軟性がなかったら古くなったゴムホースのように広がることがことができなくなります。
そのため、血管を流れる血液の逃げ場が無くなって、血管内の圧力が上がることになるわけです。
血圧が上昇する原因や要因は明確な場合と特定できない場合があります。
血圧上昇のホルモン過剰で発生したり、腎臓への動脈が狭くなって発症する高血圧を『二次性高血圧』と言います。
『二次性高血圧』は原因を取り除くことで治療が可能となります。
一方、原因が特定できない高血圧を『本態性高血圧』と言い、高血圧の大部分を占めています。
『本態性高血圧』は食事や運動などの生活習慣に起因することが多く、一生付きあっていくことにもなります。
たとえ、高血圧になりやすい人でも、食塩やアルコールの摂取を控えたり、肥満からの改善、適度な運動、ストレスを溜めないなど生活習慣を改善することで、高血圧の発症を防いだり、遅らせたりできます。
高血圧が発症したとしても上がった血圧を下げることもコントロールできます。
高血圧が原因の疾患
高血圧は『サイレントキラー』と呼ばれているように自覚症状がないままに進行します。
重篤な病気になる前に対応する必要があります。
早期に高血圧であることに気づくために、日本高血圧学会の『高血圧ガイドライン2019』の表となりますので、参考にしてください。
では、高血圧が悪化した時に発症する疾患にはなにがあるのでしょう!
高血圧症
高血圧症は高血圧がトリガとなって起こる症状です。
頭痛やめまいといった症状を伴うこともありますが、多くの場合無症状のまま進行します。
高血圧症は軽度の高血圧ではありますが、放置していると他の病気との合併症もあり得ます。
動脈硬化
動脈硬化はこの後、詳述しますが、血管が古くなったゴムホースのように柔軟性が失われて硬くなった状態です。
柔軟性を失った血管は傷付きやすく、コレステロールなどで血管内を狭くしてしまいます。
動脈硬化は血流を悪くして、さらなる動脈硬化を引き起こし、多くの病気との合併症の恐れがでてきます。
脳出血
脳血管で動脈硬化を発症すると脳内の血流が悪くなります。
場合によっては、動脈瘤ができることもあり、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの生命にも関わる病気になることもあります。
心疾患
心臓の血管に動脈硬化を発症すると心疾患のリスクが高くなります。
心筋梗塞、狭心症、心不全など生命にかかわる病気になることがあります。
たとえば、心筋梗塞は動脈硬化によって狭くなった血管に血栓ができて、この血栓がはがれて心臓の冠動脈を塞いでしまう病気です。
このように高血圧は大きな病気になる前に、予防や治療をすることが大切なのです。
高血圧の予防は動脈硬化の予防にもなる!?
高血圧で最も問題なのが、動脈硬化を引き起こすことです。
動脈硬化とは、血管が硬くなって柔軟性が失われたり、血管が狭くなる状態のことを言います。
動脈硬化の発症は以下のように血管内の傷による炎症反応で起きると考えられています。
- 加齢、ストレス、アルコールなどでサラサラの血流がドロドロの血流に変化してきます。
- 血液中の悪玉コレステロールが活性酸素の影響を受けて酸化して酸化LDLへと変化します。
- 酸化LDLは血管壁にキズ付けて付着し、そこへ他の酸化LDLも付着して増殖します。
- 血管壁のキズの修復には血小板も集まってきます。
- 体内の防御反応として免疫細胞のマクロファージが酸化LDLを際限なく食べつくそうとします。
- マクロファージは酸化LDLが過剰にあると次第に泡沫細胞へと変化し、プラークとして居座ってしまいます。
- これが繰り返されると、このプラークに血液中のカルシウムが沈着して石灰化して硬くなり動脈の柔軟性が失われます。
動脈硬化が進行すると、高血圧の原因になるだけでなく、血管の破裂、血栓の生成などが起こりやすく、「脳梗塞」、「心筋梗塞」、「大動脈瘤」などの心血管病を引き起こす危険性が高くなるのです。
高血圧によって動脈硬化が引き起こされると言われています。
なので、高血圧を予防することは動脈硬化を予防することにもつながります。
症状がでる前から予防に取り組みましょう!
生活習慣を変えることで高血圧は改善する!?
血圧を上げる原因となる生活習慣はどんなことがあるでしょうか?
逆に考えれば、ここにあげる原因を改善してゆけば高血圧も改善できることになります。
高血圧を起こしてしまう原因は明確ではありませんが、影響していると思われる要因は以下の通りです。
アルコールの飲みすぎ
アルコールは血圧にとって、善にも悪にもなるものです。
適量といってもほとんどの人から見ればほんの少量のアルコールはリラックスを誘発し血圧を下げます。
しかし、飲み過ぎると、興奮状態となり、血圧を上げる要因になります。
特に、毎日飲酒の習慣がある人は、すでに血圧を上げる素養ができていることに注意してください。
ストレスが多い生活
ストレス全てが悪いということではありません。
ストレスというと悪いイメージがありますが、「大学に合格した」、「結婚した」など良いことでもストレスは発生します。
ただ、精神的なストレスは自律神経を刺激し血圧にも影響します。
そのため、ストレスを回避することなくストレスを受け続けることで血圧を上げる要因になります。
運動不足
ここで言う「運動」とは、球技や陸上競技、水泳など激しい動きを伴うものではなく、買い物や通勤などの歩行や散歩も「運動」になります。
つまり、歩くこともしないほど「運動不足」が続くと身体全体の代謝が低下して血行不良になっていきます。
血行不良になって血流が悪くなると身体は末端まで血液を巡らせようとして血液量を増やします。
血行不良のまま血液量が増えることで、血管内の圧力が高まり、高血圧を起こすことになります。
老化
誰にでも訪れる老化も高血圧を起こす要因です。
加齢とともに、代謝も低下して筋肉量も減ってきます。
血管も同様に細くなりやすくなって血管壁も薄くなります。
結果として、血液を末端まで運ぼうとすると血圧を上げて送るしかなくなってしまいます。
食生活の乱れ
日々の栄養を摂取する食事、この食事が高血圧と密接につながっています。
暴飲暴食は消化不良を招きます。
肉中心の食生活であればサラサラの血液が粘りのあるドロドロの血液に変わります。
栄養素の偏りで血圧コントロールができなくなったりもします。
あとで、お話ししますが、塩分の取り過ぎやカリウム・カルシウム不足が特に高血圧に影響を与えています。
血圧を下げる運動とは
血圧を下げる運動と言われて想像がつきますか?
運動には酸素を多く取り込む有酸素運動と酸素を取り込まない無酸素運動があります。
有酸素運動はその名の通り酸素を必要とする運動で、軽めの運動を持続的に行うことで脂肪を燃焼させます。
一方、無酸素運動は短時間で強く筋力を使うので、筋肉を鍛え基礎代謝を高めることができます。
ただ、一時的に血流量が増えるため心臓への負担が大きくなってしまいます。
そのため、血圧を下げる運動として勧められるのは有酸素運動なのです。
有酸素運動が良いと言っても、運動すると一時的には血圧が上がります。
定期的に毎日30分以上運動することで、体内の筋肉は酸素や栄養を取り込もうとします。
血管はそれらをたくさん運ぶために広がろうとし、交感神経の緊張も緩和されて血圧が下がり始めます。
運動する上で注意することがあります。
30分の運動が継続できない場合、10分以上の運動を分割して30分以上行うことで同等の結果が期待できます。
運動習慣がない人が始める時は、掃除、料理、洗車、散歩などの日常生活の活動量を増やして体を慣らしたり、運動前後の整理運動を取り入れることも大切です。
ただし、高血圧と合併症のある方は注意が必要です。
脂質異常症、糖尿病、肥満などの方はホルモンの働きを改善するためにも積極的に運動すべきです。
しかしながら、重症の高血圧症、狭心症や心不全の心疾患、眼底網膜病変などの合併症の方は運動することが危険です。
運動を始める前に主治医と相談するとよいでしょう。
運動する時間がないというあなたは、エレベーターやエスカレーターを階段に変えたり、通勤時は一駅まえから歩いたり、自転車通勤に変えるだけで運動量は増えてきます。
ウォーキング、水泳、水中歩行、体操、ジョギング、サイクリングなどうっすらと汗をかくくらいのペースが目安です。
食事を見直して血圧を下げよう
高血圧の方はご自身でも気づかないうちに、血圧を上げるような食生活をしていることが多いです。
高血圧と言われたら、真っ先に食事内容を見直すことが重要です。
バランスの良い食事を心がけることが重要ですが、その中でも特に注意する必要があるのが塩分の摂取量です。
ついでアルコールの飲み方、そして血圧を下げる効果のあるカリウムを含む食材の摂取です。
塩分摂取量
塩分は多くの資料から1日当たりの摂取量は6g未満を推奨されています。
しかし、日本人は約10g(男性11g、女性9g)と世界的に見ても多く摂取しているという傾向があります。
世界的に和食は健康食認められていますが、漬物やみそ汁に含まれる塩分が多いためか、塩分摂取量としては注意が必要です。
具体的には以下の点に気を付けてみてはどうでしょう。
- 加工品・塩蔵品
干物、塩サケ、ちくわ、かまぼこ、ハム、ウインナーソーセージ、ベーコンなどを避ける - 調理の工夫
出汁、香辛料、柑橘類、香味野菜を活用する。 - 低塩調味料
酢、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなどを使う。 - 調味料を追加しない
出された料理に醤油、ソース、塩などを使わないようにする。 - 麺類のスープは飲まない
ラーメン、そば、うどんなどのスープを残す。 - 外食、食べすぎを避ける
食べる量が増えれば塩分も増えてしまいます。
アルコール摂取量
アルコールは適量であれば有効ですが、量が増えると逆効果になるものです。
アルコールは飲酒直後は血圧が下がります。
しかし、継続して飲み続けていると血圧が上昇してしまいます。
では、どの程度の量が分岐点なのでしょう。
高血圧者の飲酒はエタノール(アルコール)量で男性が20~30ml/日以下、女性が10~20ml/日以下に控えることが推奨されています。
具体的には、男性の許容飲酒量(20~30ml)は下記の量に相当します。
- 日本酒 1合(180ml)
- ビール中瓶 1本(500ml)
- 焼酎 半合( 90ml)
- ワイン 2杯(200ml)
- ウィスキーダブル 1杯( 60ml)
- ブランデーダブル 1杯( 60ml)
お酒が好きな方は、飲み始めるとついつい飲酒量が多くなるものです。
飲酒の機会を避けるなどすることも一つの考え方として検討してください。
なお、多量飲酒は高血圧以外の脳卒中、心筋症、心房細動、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こしたりしますので注意してください。
カリウムを含む食材
カリウムは尿からナトリウム(塩分)を排泄する作用があり、血圧を下げる効果につながります。
カリウムを含む食材ですが下記が代表的なものです。
- 納豆
- ほうれん草
- アボカド
- 春菊
- アーモンド
- カシューナッツ
- ごま
カリウムは過剰に摂取しても尿と共に排泄されるので問題ありません。
ただ、腎臓に疾患のある方は尿からのカリウム排泄が滞ることがあり、高カリウム血症を起こす可能性もあるので医師と相談したほうが良いでしょう。
また、心房細動の方でワーファリンを服用している方は、カリウムが薬の効能を弱めるので注意が必要です。
心房細動とワーファリンについてはこちらで詳しく説明しています。
タップして確認してください。
高血圧予防まとめ
高血圧はサイレントキラーと言われるように、自覚症状がないままに進行します。
そして、高血圧で怖いのが他の病気との合併症です。
なので、高血圧が発覚した時から予防することが大切です。
今回、紹介した高血圧予防の他に、禁煙や良い睡眠、そしてストレスの軽減も血圧を下げる効果があります。
高血圧の改善には生活習慣を改善することが不可欠です。
少しずつでも、今の生活習慣を見直すことがあなたの血圧コントロールにつながることでしょう。
ただ、生活習慣の改善を忍耐強く継続することが一番大変なことかもしれません。
生活習慣を改善しているのに、高血圧が改善しない場合、血圧を下げる薬によって対処することも必要になります。
血圧を下げる薬には以下に示すようにいろいろな種類があります。
特に、早朝の頭痛、夜の頻尿・呼吸困難、めまい・ふらつき、足の冷えを感じるなどの症状は、高血圧による臓器損傷の可能性もあります。
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あなた自身の症状にあっている薬で予防し、その先の病気を併発しないようにしてください。
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